大先生のお陰でしょうか、私は嘔吐ネタ大好きです。
てことでそんなことでなんのことで、黒城くん嘔吐します。胃の弱い黒城くんです。
山なし落ちなし意味なし。
一応全年齢向きだと思う。
黒城が嘔吐した。
最初は先程食べたサンドイッチとコーヒーの混ざったものが出た。
四つん這いになりながら、それを見て黒城はぼんやりと、ああ、勿体ないなと思った。
胃の中に入っていた物はそれだけだったのだが、全て吐き終えてもまだ胃の中から何かが込み上げてくる。
黒城は肩を大きく震わせながら二、三度咳き込み今度は黄色い胃液を吐き出した。
黒城の口の中には酸っぱい味が口の中に充満し、コーヒーと、胃液の混ざった臭いが部屋中に充満した。
その臭いに当てられ、更に嘔吐感がわいたが、胃液も吐き尽くしたのか、口の中から出るのは唾液ぐらいのものだった。
その臭いから逃れようと立ち上がったが、そのとたんにぐらりと世界が回った。
そしてそのまま自分の嘔吐物へ倒れこんだ。
べしゃっと音がし、黒城の顔と黒く、長い髪の毛にベットリと自分の嘔吐物が付着した。息を吸おうとしたとたん、嘔吐物が口の中に入り込み、再びむせた。うっすらと目を開けると、すぐ目の前には自分の嘔吐物と、ベッドの脚がぼんやりと見えた。
ああ、くそ。
黒城は否応が無しに鼻に入ってくる臭いを嗅ぎながらぼんやりと見ながら思った。
いきなり食うんじゃなかった。
黒城はつい一昨日までスペインのゼウスという男の管理する修行場で寝ず食わずの修行を四日間にわたって続けていた。おまけに修行中にガルドの刺客が乱入しどうにか勝利することができたものの、直後に今度は切札勝利を救うために冥界の入り口まで行ったため、勝利を救った後はさすがに体力がほとんど無くなっていた。
宿を貸すと言うゼウスの好意をはねつけ、どうにか持ち前の気力で汚い安宿を見つけだした黒城は部屋に入ったとたんに倒れたのだった。
その後、かなり長い時間を寝て過ごして起きたのはつい一時間ほど前。なんと三日間眠りっぱなしだったらしい。
起きた時にはほとんど目の焦点も合わせられず、その原因が栄養失調であると感付いた黒城はフラフラと部屋を出、安宿の前にあった屋台でサンドイッチを買ったのだった。
そして再び宿に戻り、空腹にかませてサンドイッチを胃に詰め込んだため今の惨状になったのだ。
そういえば…。昔はよく嘔吐していたな。
黒城はふと想いをはせた。
浮浪児時代は生ゴミを漁り、よく食中毒を起こしていた。
死神城に拾われた当初は今度は緊張で嘔吐していた。その時周りの仮面の人達はそんな黒城を心配してくれていた。しかし誰かに心配されるという経験のない黒城にはその優しさがかえって緊張に繋がり、更に嘔吐したのを覚えている。
ああ!くそったれが。嫌なことを思い出しちまった!
その優しく心配してくれた人の中には長もいたのだ。
はい、終わし!